カーティス・ホルトさんの新術黙学論はそもそも事実である。7月から二個月の間に何も描けなかった。
スティーブン・スコットは「作家の行き詰まり」について良いお勧めも役に立たなかった。何を作るの問題は起こりない。問題は作力の不足である。
僅か八月の中旬力が集まった。蝉声を聞いて、芭蕉の「やがて死ぬ」と言う俳句を考えて居た。
その頃、無常を象徴する蝉の指輪は良いかなと思った。毎度蝉の足に刺されて痛みを感じさせる時、萬物無常を覚える。
己れは老いて、やがて死ぬ時この指輪を着けて、令和二年の夏大和の海の岸で蝉声を聞くことを慕って居るのを思い描いた。
下手ので人肌の色は良く作れなくて、終に己れがやがて死ぬ姥に化けたものの手に蝉の指輪を嵌めた。